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太陽光による遮熱・断熱・熱消費型塗料の温度比較試験 岐阜兼羽島市 塗装のペンテック

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太陽光による遮熱・断熱・熱消費型塗料の温度比較試験 

                        発表者 :田中 茂

                        主催  :日本塗り替え研究会

                       発表場所:東京大学生産技術研究所

                        発表日:24年10月13日

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1、はじめに

 「遮熱塗装・断熱塗装」と言う言葉は、今や一般消費者にまで浸透する言葉となってきています。ホームセンターの、屋根用塗料のブースには白熱ランプを2種類の塗板にあてて温度が下がる実験キットが置いてあったり、赤外線波長域を反射する分光反射率曲線が描かれたグラフが展示されています。

 しかし、自分の家のヤネに塗って効果の現れていないお客様がいるのも現実です。先日、うかがったお客様で、遮熱塗料の銀ネズ色をヤネに塗った方がみえました。8月の暑い日でしたが、私が実際にヤネに上がってみると、遮熱塗料が塗ってある銀ネズのトタンと、塗らずにおいた、薄いグレーのトタンでは、手で触っただけでも明らかに塗らなかった薄いグレーのトタン屋根のほうが温度が低かったです。

 私たち現場の塗装に携わる者として、今一度、断熱塗料における表側と裏側との温度比較、明度における温度比較、塗料の種類における温度比較を、実際の現場条件に近い形で実験を行い、塗料メーカーが公表していない部分をしっかりと把握しておく必要があると思い、試験を行うことにしました。

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2、試験方法と試験用キットの作製

 今まで、各塗料メーカーが使用してきた、白熱ランプを使用した温度比較試験について。

メリット :気温・湿度・風などに影響されず、いつでもどこでも安定した試験を行える。

デメリット:実験時間が長くなると、塗板温度が100度を超えてしまうために、結果的には、温度差が出た段階で実験をストップさせないといけない。

 

<試験キット作製の条件>

1、太陽光線を使い実験できこと。

2、温まった塗装板からキット部材への熱の移動が無いこと。

3、塗装表側と裏側が瞬時に計れること。

4、作製したキットで、10年間の屋外暴露試験が行える耐久性があること。

5、移動が簡単で、品名の識別が容易なこと

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<塗料の施工方法>

1、上塗り塗料の色は、N-55 グレーとする。

2、明度差による温度変化を調べるために、白・薄いグレー・N―55・濃いグレー・黒を加える。

3、塗料中で熱が消費されたか、断熱により熱がアルミ板に伝わっていないかしらべる。

4、塗り回数などは、メーカー標準仕様書を参照する。

5、塗装方法は、建築現場施工と同じように ローラーを使用する。

6、アルミ板への下塗りは、2液弱溶剤エポキシ樹脂さび止め塗料を使用。

7、同上の色は、白とした。但し、上塗りする塗料により 下塗りの色が影響する事を確かめる為に赤錆色での試験も加える。

8、遮熱・断熱・熱消費型塗料の性能を比較する為に、一般型塗料も加える。

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3、試験にあたり

 試験の開催が10月と言う事もあり、真夏の塗板表面温度80度を越える実験ができなかったことが残念でした。10月5日から、天気がいい日を4日選び測定しました。その日により、測定温度が違うことは理解できていましたが、わずか、1分間でも、温度に差が出ていました。原因としては、風による冷却効果。太陽光線の量が一定ではないため光が強くなったり弱くなったりしている事。

そのあたりは、何度か実験していくうちに測定方法をつかみました。

 結果的には、快晴の雲ひとつ無い穏やかな日の正午から1時頃にかけて測定を9回行いその平均を求める事により誤差を減らしました。

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4、塗板表面温度の測定結果【参考資料1−1】

 @〜Dにおける、通常の塗料での色による

赤外線吸収では、色の濃さにより黒に近づくにつれ均等に温度が上がっていき、黒が最高値をつけると思っていた。

白から薄いグレーになるだけで12℃の温度変化があったのに対して、濃いグレーと、黒では、1℃の温度変化しか無かった。

 E〜GはAAメーカーの弱溶剤2液シリコン樹脂つや有塗料 M〜Oは、BBメーカーの弱溶剤2液シリコン樹脂つや消し塗料である。それぞれ、重量比で断熱ビーズを 入れない0%・20%添加・50%添加による、断熱性能を調べた実験だが、1℃ずつしか下がらず、期待したほど効果が現れなかった。

HPのCCメーカー・EPの遮熱塗料 DDメーカーの下塗りに、白と赤錆の二種類を使用したが、結果的には、赤錆色のほうが2℃位い低い結果になった。実験結果からは、赤外線は遮熱顔料の塗膜を透過していないことになる。塗料メーカーは、白を下塗りすると効果が上がるとうたっているが、イマイチ疑問が残る。

 H〜Lの今回一番期待していた、断熱・特殊断熱塗料の結果が温度変化に1〜2度くらいの開きしか現れなかった事に何となく、しっくりこなかった。

また、それらが49℃前後の温度に対して、ER22の遮熱塗料は、46℃前後となり断熱塗料より優れている事が伺える。また、@の白・24のアルミ金属面が37℃前後で、一番 赤外線を跳ね返すという結論に至った。

 遮熱塗料EのN-55と一般塗料BのN-55では、5℃位の温度低減効果がみられ、納得のいく結果となった。

 

【参考資料1-1】  表側 温度の測定  

太陽光温度比較試験   24年10月9日(火) 測定時刻AM12:09〜PM1:25  

快晴(雲なし) 微風が時々あり 室内温度30,5度 湿度29度

測定場所:岐阜県羽島市江吉良町2084  測定者:田中茂

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Dを測定する時に測定キットを太陽の正面に向きをずらした。測定ツール:(株)マザーツール 非接触赤外線温度計MT-8 応答時間 約1秒

 

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5、   板裏面温度の測定結果 【参考資料2−1・ 3−1】

塗板裏側の温度測定の結果から、塗膜によるアルミ素材への断熱は、難しい事が読み取れる。

 仮に、ヤネのトタンに塗装した場合には、表面温度より1℃位下がった温度が、トタンの裏側の温度と理解できる。

 

【参考資料1-2】 裏側 温度の測定

太陽光温度比較試験   24年10月9日(火) 測定時刻AM12:09〜PM1:25  

快晴(雲なし) 微風が時々あり 室内温度30,5度 湿度29度 

 測定場所:岐阜県羽島市江吉良町2084  測定者:田中茂  

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Dを測定する時に測定キットを太陽の正面に向きをずらした。測定ツール:(株)マザーツール 非接触赤外線温度計MT-8 応答時間 約1秒

 

【参考資料1-3】 表裏同時測定  温度差

測定場所:岐阜県羽島市江吉良町2084  測定者:田中茂  

太陽光温度比較試験     1回目・2回目: 24年10月7日  測定時刻AM1:00〜1:05  快晴 やや風あり 

3回目・4回目: 24年10月9日(火) 測定時刻AM12:20〜AM12:35  快晴(雲なし) 微風が時々あり 室内温度30,5度 湿度29度

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測定ツール:(株)マザーツール 非接触赤外線温度計MT-8 応答時間 約1秒

 

 

5、   今後の課題

 遮熱・断熱の機能性が、5年・10年経ったときに機能性を維持できているのか?

また、機能性も大切だが塗装本来の素材を保護するための耐久性がどれほどあるのか?

もし、機能性を重視するあまり、耐久性が損なわれているのであれば、どれくらい落ちるのかを知っておく必要がある。

 真夏の太陽光の下での実験を行えば、今以上に温度差が現れ、又別の試験結果が得られるはずである。

今回の結果から、塗料メーカーのカタログに書かれているような結果を出す事ができなかった。しかし、もしかすると、塗料メーカーが提案している性能を出し切れていないのが塗装現場の現状なのかもしれません。

 また、気温30,5℃の10月でさえ、白と黒の温度差が20℃あったことを考えれば、真夏であれば、温度差が30〜40℃位の開きがあるのではないだろうか?

単純に、温度を下げたいのであれば、真っ白を塗る事も視野に入れて考えたほうが効果を期待できそうな気がした。

 

7、最後に

塗料メーカー様より、塗料メーカー名及び、塗料名を明かさないで欲しいとの要望があった会社がありましたので、サンプル名は伏せさせて頂きました。ご容赦下さい。

この実験は、あくまで有限会社ペン・テック代表田中茂が個人的疑問から行ったものであり塗料メーカーが公表している性能を否定するものではありません。

この研究に塗料を提供頂きました塗料メーカー様と、発表の場と研究に対し考察・助言頂きました東京大学生産技術研究所 工藤一秋教授。そして例会を企画して頂きました日本塗り替え研究会様にお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

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